会議などの合間に

日本人のしつけは衰退したか (講談社現代新書)

日本人のしつけは衰退したか (講談社現代新書)

 家庭のしつけや教育能力についての(あまりハードでない)実証分析.論旨は明快で,昔の家庭には今ほどのしつけや教育能力はない,ということ.この先生の仕事は前から気になっていて,もう少し専門的な著作を読みたいと思っているのだが.

M2:思考のロバストネス

M2:思考のロバストネス

 面白かったのは格差,階層化社会のどこが悪いと踏み込んでるところ.すべての人間が職業で自己実現を目指すという想定自体が非現実的であるというのは,そうなのかもしれない.でもこの立場は本田由紀さんなんかは容認しがたいだろうと推測するが.また,筑波にいたときにある社会学の先生と居酒屋で呑んでいた時,その先生は「結局アイデンティティのコアになるものは職業しかないんだ」といっていたことを思い出す.帰属する宗教や中間集団で職業に優先するものがありそうだとも思うけれども,その先生はクリスチャンだったなあ.
 あと社会内のdivideが大きくなったときに,学習や説得や啓蒙の基盤が蚕食されないかという心配をどうしてもしちゃうんですけどね.「楽しい夢を見せてやるからマスは寝ててくれればいい」というエリートってそんなに頼りになるの?って気もするし.