ちょいと頭がほてっているので

冷却のために書く.

アジアパー伝 (講談社文庫)

アジアパー伝 (講談社文庫)

 この漫画で鴨志田氏と橋田信介氏の交流の話が出てくる.漫画によると橋田さんは民青あがりということらしい.これを読む限り彼が勤めた日本電波ニュース社って共産党系の会社に見えるがそうなの?世間知らずでこの辺よくわかんない.まあwebsiteで見る限り,そうかもと思えないこともない.こういう情報ってどこにあるんだろ.まあ共産党系の会社ってくくり自体が商売の邪魔になることもあるから,あまりあからさまにはできないのだろう.情報の消費者としては知っておきたいんですけどね.

ゲーム―駆け引きの世界 (東京大学公開講座)

ゲーム―駆け引きの世界 (東京大学公開講座)

 昨日梅田ブックファーストで購入.東大でカルチャーセンターしてみましたって感じの講座であるが,おもしろい.松井さんと田辺さんの章が読みたくて買ったのだけれど,他にもいろいろ面白い部分があった.特に印象に残っているのは池上高志「ゲームで見る生命の複雑さの理論」p.117およびp.123の話.
 p.117はベイトソンの「二次学習」という考えを説明している.「二次学習とは,何を学習しなさいということ自体を学習しなくてはいけないという問題で,このことは一段上の学習であるというのである」
 大学なんて二次学習のためにあるのではないか.「あなたが何を学習しなければならないかはあなたの今後の生き方に関わってくるのであるから,あなたでない私にはわかりません.自分で探してください」というところが大学なのだと思うけれど,学生さんたちの多数は一次学習的発想で大学にいるんじゃないかと時々心配になる.
 p.123の話は「2,4,6,8,x,12,14」とあったときに,小学校ならx=10でないと間違いだとされるが,どんな数値を入れてもそれを正解とする規則が書けてしまうというもの.いやあ,やっぱり数学は大事ですね.もっと勉強しておくべきだったと痛感する昨今.

14歳からの仕事道 (よりみちパン!セ)

14歳からの仕事道 (よりみちパン!セ)

 子供に読ませようと思って買った.子供に読ませる前にちょこちょこ読んでいるのだが,なんとなくよさげ.
 ざっと見ただけでも,「勉強とは「ワケわからん」にあきらめないこと」(p.27),「即戦力は役に立たない」(p.30),「安定を求めて公務員になると不幸になるよ」(p.33)など「異議なーし」である.

 世の中には役に立つ知識と役に立たない知識があって,コストをかけて役に立たない知識を身につけるのは損という考え方が普及している.もちろん生存戦略として,限りある認知資源を適切に用いて知る必要のあることを学習することは重要である.
 しかしある種の知識が有用であるためには必要な前提というものがいくつかあって,その前提がいつまで維持されるかはわからない.特定の環境に特化して適応することが,環境変化に耐えられない自分を生み出すことになる可能性は高い.それでなくても歳をとるとそうなっていきがち.環境変化に対応するためには先述の「二次学習」の能力が重要になると思うんですけどね.

 あとさらにいうと,今現在どう応用していいかわからない知識の応用方法を見つけるとこれは結構オイシイ.数学者は結構,数学は役に立たないというけれど,数学を役に立てる方法を発見した人の収穫は大きかったんではなかろうか.
 先日ここでとりあげた大塚英志の『物語消滅論』で彼は「応用民俗学」という看板を掲げているけど,彼は民俗学を応用する方法を見つけたからそれで食ってるわけでしょ.『国家の罠』の佐藤優は本の中でソ連の幹部とつき合う上で同志社大学で勉強していた組織神学が役立っていることを書いています.人間が長年にわたってコンコンと考えてきたことが役に立つか立たないかは,その応用方法を発見した人間がいるかどうかにかかっているんじゃないでしょうか.
 要するに自分に応用方法がわからない知識をすぐに役に立たないと退けるのは早計で,現時点の自分にはそれを生かす力がないと考えるべきなのではということが言いたいわけです.もっというと「あなたにとって意味のない知識かもしれないが,それが人類にとって無意味とはいえません」ということです.自分に理解できないものは無意味ってのはゴーマンじゃござんせんこと?あなたの理解できない知識があるから,車だって動くし,スペース・シャトルは宇宙へ行くし,携帯電話だって使えてるんじゃございません?自分の生活が自分の理解できていない知識にどれくらい依存しているかを思えば,あんまりゴーマンな態度は取れないと思うんだけどな.

 人の一生は100年足らずで,普通の人にとっては生きてるうちに収穫の得られる知識を学習の対象として選択しなければならないことはその通り.だが,すべての人がみな100年単位のスパンで生活したり,物を考えていたら次の世代の資産を食い潰すことだってある.学者はもう少し長いタイム・スパンで物事を考える立場なので,そうでない方からは暇そうにみえるんでしょうけど.

 あー,疲れた.これで仕事に戻れる.