- 作者: 宮野勝
- 出版社/メーカー: 中央大学出版部
- 発売日: 2009/04
- メディア: 単行本
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第1章安野論文「『寛容』の問題としての外国人参政権に対する態度」は個人的にも非常に興味を持っているテーマです.アメリカ政治などでは人種の問題が語られ,人種に関する認知を間接的に調査するための実験的な手法などがどんどん試みられていますが,日本ではまだ手付かずに近いです.
第2章のリード論文「勝てば,自民党―フランチャイズ政党における候補者公認基準―」には「フランチャイズ政党」という概念が出てきます.野党となった自民党がこの先もフランチャイズ政党でいることは困難でしょうね.
第3章高橋論文「動員されたボランティアとしての選挙運動」は選挙運動についての理論研究というべきもので,随分と私の研究を引いてくださっていて恐縮です.高橋さんは博士論文を準備しておられるはずで,公刊が待たれます.
第4章塩沢論文「住民投票の研究―賛否の行動をめぐる自治体間比較―」は住民投票に関する貴重な実証研究です.
第5章宮野論文「投票率の基礎データと分析―<結果調データ>の検討を中心として」は,これまで投票参加研究においてあまり用いられてこなかった自治省(現在は総務省)による<結果調データ>について検討されたもので,これまたありがたい貴重な研究です.
こうしてみるとそれぞれ興味深い政治参加研究が3つあり,少しずつこの分野も動いてきている感じがします.